２０１９年東京のお茶会

順子さんがエレベーターから降り、まず目にされるのは、後方に吊り下げられた「祝５５周年　おめでとう」の文字の書かれた垂れ幕。

中央右手のテーブルには、ピンクのミニ胡蝶蘭・似顔のイラスト・手作りのオルゴール｡
傍のホワイトボードには凛々しさと優しさに満ち溢れた表情ばかりの、順子さんの沢山の懐かしい写真。

左手には私たちからの豪華なスタンド花が飾られ、順子さんを迎える準備は万端です。

ああ宝塚わが宝塚 の曲が流れ出して順子さんの第一声は『ヘェ～イ！何でそんなに元気やのぉ～何かライブみたい！』
会場は盛大な拍手の波の中「ウアー！」と大きな歓声から奇声へと、『ハ～イ！』と順子さんは軽快に♪あ～あっタカラヅーカ！と口ずさみ踊りながらに私達に姿を見せてくださいました。
『皆様！こんにちは。家を出た途端ザアーと降ったのに今はスッカラカン』と近づいている台風を心配され『５５周年祝って頂き有難うございます』と挨拶をされます。
会場は盛り上がり｢ワア～！｣と歓声･拍手がなかなか鳴り止みませんでした。
髪は少し長めで、白いパンツに黒と白の柄の上着に、限りなく白に近いレモン色のパンプスが、とても印象的で爽やかでした。
『こんなに長いこと、まず生きているなんて思いませんでした。皆さんも変わりなく。テカテカの笑顔で、笑っている顔が素晴らしい！みなさんニコニコマークで・・・って感じで嬉しいです』と順子さんならではのおしゃべりが始まります。　
『私がいつ一番緊張するか分かりますか？　会ですよ。一番緊張するのよ。
ライブやステージだったらゴテ～っとお化粧するし遠いので……。
会は素に近いので、今日は念入りにして２０分掛かりました』と素晴らしいニコニコ笑顔でご挨拶を終えられます。
先ずは皆さんはジュースで乾杯です。全員が起立をし｢ジュンちゃん５５周年」「おめでとうございます」と全員で唱和してお祝いの気持ちを伝えました。

会からの花束贈呈で、この日順子さんが選んだラッキーナンバーは５５番です。　
花束を受け取られた順子さんは『有難うございます。もう帰っていいのね』の言葉に場内は｢エエー？｣と騒然とし､順子さんは『いつも何だか､お花を持ったら帰っていいみたいな…』と茶目っ気を出され私達の気持ちをどんどん掴んで離しません｡
お祝いの会イベント企画第１弾。
５５周年の順子さんに､初舞台から順子さんを応援しているファンが代表として“感謝状”を読み上げて贈りました。
順子さんは感謝状が読まれる間､嬉しそうに微笑みながら時折お辞儀をしたりして､幸せそうに聞いていらっしゃり､感謝状を受け取って『恐縮してしまいます。皆さんのおかげで５５年もこうして来られるとは夢にも思いませんでした。
長い年月感謝致しております。本当に有難うございます』とお礼を述べられました。

お祝いの会イベント企画第２弾
全員で順子さんに､天童さんの♪大ちゃん数え歌の替え歌を贈ります。
全員で、順子さんの“写真入りうちわ”を手に､手拍子をして感謝の気持ちを込めての替え歌大合唱です。
順子さんは私達の合唱に“あっ！ヨイショ！　あっ、ソレッ！　オーレ！オーレ！
ヨォー！”と相の手を打って聞いて下さり､時には手元の歌詞を見ながら一緒に歌って下さいました。
歌い終え全員の「ワア～！！」という盛り上がりに『何やの～､ジャニーズじゃないの。やりたかってんねぇ～、何や皆の発散の仕方！さっぱりしたね』と、とても楽しんで下さいました。
スタッフの方が考えられた替え歌の歌詞が、とても素晴らしいのでご紹介します。
　
ジュンちゃん　数え歌♪

　　一つ　人より　うるわしく　　　　　　　二つ　ふるさと　宝塚　　
　　花の　あこがれの　男役ウー　　　　　　三つ　ミギワの　芸名で
　　ジュンちゃん　アッチョレ　人気者　　　てんてん　天下のォ！　大スタｧ　
　　四つ　弱気は　見せないで　　　　　　　五つ　いつでも　猛稽古
　　みがき　ぬかれた　芸の道ぃー　　　　　六つ　むちゃくちゃ　カッコ良く　
　　ジュンちゃん　ドバッと　ダンスする　　てんてん　天下のォ！　天下芸
　　七つ　斜めの　４５（よんじゅうご）　　八つ　約束　投げキッス
　　九つ　これだから　やめられぬゥー　　　十で　当然　胸キュンよ
　　ジュンちゃん　ポッチョレ　いい女　　　てんてん　天下のォ！　大スタｧ　

お祝いコーナーが終わり質問コーナーに入ります。

Ｑ　暑中見舞いの葉書に「日傘お持ちやす」とありましたが、順子さんはこの夏どの様に過ごされましたか？
Ｊ『どこにも行っていません。ナマケモノといった感じです。ずっとテレビです』
順子さんは昔からいつも帽子被っているので、余り日差しが気にならないそうで日傘は持っていらっしゃらないそうです。
そして、歩くときなど時々、掌を太陽の日が当る方へ向けて、お日様の日差しを、掌から身体に取り入れる様になさっている事を教えてくださいました。

Ｑ　ベルばら４５のエピソードは？　下級生の男役をご覧になって如何ですか？　ＯＧの男役はどうでしたか？
Ｊ『ずっと男役に徹して来たので、何の変化もありません』
ただ歌で、オスカルの清らかな透明感のある姿に、気持ちが研ぎ澄まされる思いで、オスカルの動き一つ歩き方一つが怖く、しんどく、身が縮む思いで歌っていらっしゃったそうです。楽屋でモニターを見ていた時の話とか、今のスターさんの背が高いのをご覧になってご自身が良く男役をやってこられたなぁと思われること、初演に出来た事は長谷川一夫さんもいらっしゃったりで、何よりも特別な事だと考えていらっしゃるとの事です。

Ｑ　順子さんのベルばら４５がとても素晴らしく燃えつきました。ジェミニの衣装は　　誰が決められたのでしょうか？楽屋で楽しい面白い事があったら教えて下さい。
衣装は主催者側が決められたのですが、生地は２種類の中から、順子さんが銀と白で選ばれたそうです。
そして、現役時代にお衣装を作っていらした方が、今回も衣装を担当してくださり、順子さんにサイズもピッタリで、生地もとても踊り易く助かったそうです。
集中力と一夜漬けが得意な順子さんは、ダンスの振りも直ぐに覚え、お稽古も一回通されたらいつも早く帰られるのですが、他の４人のダンサーは居残りさせられてた事を面白可笑しく嬉しそうに話して下さいました。

Ｑ　大雪組会のときの様子をお聞かせ下さい。
大雪組会は東京と大阪の各々で開催され、東京は参加されたのですが、大阪は｢ベルばら４５」が終わり翌日だったので、疲れ果てて参加されなかったそうです。
東京では会場の席に付く時、植田先生の傍は参加ＯＧの皆さんが逃げてしまい、順子さんが植田先生の隣の席になってしまわれ緊張されたそうです。
トップは１曲ずつという事で順子さんは ♪別れのフラメンコを歌われたそうです。
その日の曲の出来栄えが、ご自身では余りよく思えなかったそうで『１曲だけで全てと思われるのはダメ！１０曲だったら中には良いのもあるのに～１曲はキツイ！１０曲の方が楽やね』と頬に指を持っていきお茶目に可愛らしくポースされました。
最後にベルばら４５周年を迎えられたことに対して『何より有難かったことは、この凄い素晴らしい作品に、初代のメンバーとして参加出来た事が一番。感謝してもしきれない。宝塚の一番良い時、世の中の一番良い時に出演出来ました』と熱弁されました。

Ｑ　５５周年おめでとうございます。今日まで生きてこられたのは本当に順子さんのお蔭で本当に幸せでした。次の台詞を是非言ってください。切実なお願いです。
Ｊ『どなたですか？切実なんて今にも死にそうな～｡(質問された方が判って)あなたは大丈夫、あと５０年はしっかり生きていけます』と順子さんは仰って会場の笑いを誘い、優しい微笑みで『幸せに生きてこられ、こうして皆様にお会いできて』と前置きを述べられてから
“生きているって！素晴らしいことだぜ！”　というセリフを言って下さいました。
一瞬時が止まり､場内がしんと静まり返りました｡
私たちの前にはジョニーが立っていました。感無量。
「ワァー！アーー！」の悲鳴と大歓声が沸き起こりました。
実感を込められた台詞の後のジュンコさんの目には、キラリと涙が光っていました。

Ｑ　東京オリンピックはどのような競技に興味を持たれて、どんな競技を観戦なさりますか？
Ｊ『私は、勿論現場には見に行きませんが、テレビで一生懸命応援します』
夏は水泳を見ていると少し涼しくなるそうで、家でカバのようになって泳ぐ真似をしてご覧になられるそうです。なので先ずは水泳、そして陸上・テニス・卓球・クライミング・スケートボードと次々と競技名を挙げられました。
最近は、緑の芝生が気持ちいいのでゴルフを見るのがお好きだそうで、いつも全米全英のプレーはテレビを明け方までご覧になるそうです。『バトミントンも強くて凄いね』と続き、次から次へとスポーツ選手の名前を挙げられ、説明される順子さんの知識の広さにはいつもながらビックリ致します｡

Ｑ　YouTubeでさよならアラン・回転木馬がアップされていますが、その時のエピソードがあれば教えてください。
Ｊ『さよならアランは、舞台の最後の花嫁衣装が、一生の間に一度でも着られて良かったです』
と笑っておっしゃいました。物語としては、男か女に変わって行くところが面白かったそうです。
辞めてからの回転木馬は思い出せないそうで、ただ回転木馬の作品は大好きで、宝塚の本公演は、いじめっ子の子役だったのが嫌ですごく怒って演じていたけど、新人公演で主役のビリーが出来たことが嬉しかったとおっしゃいました。

Ｑ　退団後の作品で一番の作品はなんですか？　私はショータイムが好きです。　
Ｊ『いっぱいし過ぎて分かりません。何があったかも分からない…
ショータイムは、髪をカットしてくださった方がとても上手で良かった。公演の少し前にニューヨークに行って帰ってきたばかりで、自分の気持ちが大きく広がって飛び出していく様な心持ちで演じられて良かったです』

Ｑ　オフの毎日で一番幸せだなぁと感じる時はどんな時ですか。最近は何を食べていらっしゃいますか？
Ｊ『本当に何気ない時に、一人で自由に生きているんや！と感じた時、自分で作った料理が美味しくて、“やぁ流石やわぁ。美味しいわ”と思ったりするさりげない事がすごく幸せで、いつも“有難いこと”と感謝してます』
また、時々私達が毎日どう生きているか想像されて『生きていることが凄いなぁ』と思われるそうです。
私達が、家族と一緒に生活して子育てをして生きていることに対して、ご自身はずっと一人で生きて来られたので『人と一緒に生活出来る事が凄く偉いと思う』と私達を励ましてくださいました。
順子さんはもし結婚されたら、相手の方に良くしてあげ喜んで欲しいとの思いで、一生懸命尽くし過ぎ､結果疲れ果てて別れると思うと仰いました。
その言葉に、いつも舞台から客席のためにと､一生懸命エネルギーを目一杯送って、私達を喜びで幸せ一杯にしてくださる姿勢が在り在りと感じられました。
そして、幸せについて『台風なのに、こうしてここに来られてニコニコと笑って、この瞬間を幸せだと感じて貰える事が、私は一番幸せだと思います』と締め括って下さいました｡
食については『皆さんと一緒ですよ』述べられ、ご自身が最近考えてアレンジされたと、新生姜について教えてくださいました。
新生姜の甘酢漬けを召し上がった後に、余った甘酢に酢と水とみりんと砂糖と塩を少し足し胡瓜とタコを切って入れ酢の物「タコキュウ」を作り、更にそのタコキュウの余った甘酢に、パプリカとズッキーニを切って炒めて少し柔らかくして冷ました物を入れマリネにして、有効活用していらっしゃるそうです。
『どうこれ！三回活用してるのよ』と声も高らかに得意気でいらっしゃいました。

Ｑ　柴田先生がお亡くなりになりましたが、何か思い出をお聞かせください。
Ｊ『作品の中でしかないのですが、その時代に先生の作品に恵まれて先生のお蔭で日本物をやり遂げられました。たけくらべの少年･信如は、思い出しても涙が出るくらい切ないです。
沖田総司の青年､ベルばらの後だったので更に次の沖田総司が生きたと思います｡
朝霧に消えた人で大人になって、柴田先生がちゃんと考えて役を下さっていた事が有難いです。フィレンツェに燃ゆの貴公子も有りましたね。貴公子は凛とした姿勢がしんどかったですが…』と目を潤ませながら先生について語って下さいました。沢山のお話を聞いた後に、テーブル毎に集合写真を撮って頂き､一人ずつ順子さんから直接手渡しで“ベルばら４５の写真集”をプレゼントされました｡
最後は、順子さんからの歌のプレゼントです。
『皆様が一番馴染んでいる曲と言うことで、

太陽は燃えている　です』
私たちの胸に突き刺さる情感溢れる歌声に、順子さんの限りなく深い愛情を目一杯感じさせて頂きました。
割れんばかりの拍手の渦、歓声が沸き上がり鳴り止みませんでした。
『会で歌うのが一番緊張します。有難うございます。素晴らしい拍手の音。こんなに長い長い年月の間、皆さんの拍手の音がいつもいつも耳に聞こえて来て、又この期に及んでまた、こんなに素晴らしい拍手の音を頂けるなんて本当に幸せ者です。有難うございました。お気をつけて！嬉しかったです』ともう一度正面を振り返ってボードに飾ってある写真をじっと見つめられ、昔を想われているご様子でしたが、一言『ええやんか～写真写りがいいか』とおっしゃり微笑まれます。

両手を振って出口へと向かわれ『ありがとうございました。あゝすごく緊張したよ。又お会いします』との言葉を残して去って行かれました。
本当に沢山のお話を聞かせてくださり、“生きているって！素晴らしいことだぜ！”と再確認させてくださった順子さん。
私達ファンにとっては、順子さんと共に笑顔で生きている事が素晴らしい人生です。
５５周年本当におめでとうございます。これからも共に歩ませてください。